「単一建物診療患者」管理機能の解説
訪問歯科衛生指導料と介護保険の居宅療養管理指導費の算定の基準は「単一建物診療患者(単一建物居住者)」数によります。「単一建物診療患者(単一建物居住者)」とは、同一月に同一建物で診療(あるいは介護)する人です。
訪問歯科衛生指導料と居宅療養管理指導費では、月初に「単一建物診療患者(単一建物居住者)」の人数を確定し、その人数の区分の点数をその月に算定していきます。
この算定に関しては例外もあり、その制度自体を解説しようとするととても大変なので、以下のリンクを参照してください。
訪問診療の患者数と報酬日本訪問歯科協会なお、訪問歯科衛生指導料と居宅療養管理指導費では、それぞれ別に人数をカウントします。同じ施設に、訪問歯科衛生指導料を算定した人が一人、居宅療養管理指導費を算定した人が一人の場合は、二人とカウントするのではなく、それぞれ一人とカウントします。
カルテメーカーでは、「単一建物管理」という機能で、
その月の実績を集計し、
翌月の計画を決定し、
それをカルテの反映し、
日々の入力では、その計画に従って自動的に正しい区分の訪問歯科衛生指導料あるいは居宅療養管理指導費を入力するようにします。
カルテメーカーでの自動算定の方法
カルテメーカーではカルテの月初に「単一建物人数」というのを入力します。この項目には計画した人数や例外等が設定されています。その月はこの「単一建物人数」に従って、訪問歯科衛生指導料あるいは居宅療養管理指導費が自動入力されます。
右図の場合、単一建物診療患者数は2人で「2〜9人」の区分で「訪問歯科衛生指導料」を自動算定するように動作します。
この状態で入力を開始すると、訪問診療の入力画面では、「訪衛指2」だけしか選択できない状態で表示されます。
この月初の「単一建物人数」の設定を「単一建物管理」機能で行います。
「単一建物管理」機能(基本的な使い方)
「ファイル」メニュー → 「総合情報」
リストから「単一建物管理」をダブルクリック
で、右のような「単一建物管理」画面が開きます。
処理は月末に行うので、レセプトの集計月と同じ月の管理画面が開きます。月の変更もレセプト一覧と同じで、ツールバーあるいはナビパレットの矢印ボタンで変更できます。
右図のように5月であれば、5月1日から5月31日までのデータを集計し、計画を立案し、6月1日の日付で、「単一建物人数」をカルテに書き込みます。
「集計」ボタンを押して当該月(例の場合は5月)の実績を集計し、予測される計画を求めます。
集計は施設毎に行われ、上のリストの表示されます(「建物毎」でないことに注意してください。同一の建物に複数の施設が存在する場合があります。)
上のリストには、施設名と医療(訪衛指)と介護(居宅療養指導)それぞれの実績数と翌月の計画が表示されています。
上のリストの1行をクリックすると、その施設の詳細がリストの右側に表示され、下のリストには、その施設の所属する患者さんのリストが表示されます。
右側の詳細部分のプルダウンメニューやチェックボックス、人数等を変更すると計画が修正されます。
下のリストから、1行をクリックして患者さんを選択後「カルテ」ボタンを押すと、その患者さんのカルテが開いて実績と計画を確認することができます。
上下のリストをクリックして、計画を確認し、場合によっては計画を修正します。
計画を確認、修正して問題がなくなりましたら「一括設定」ボタンを押して「単一建物人数」(計画)を対象の全てのカルテに入力します。
カルテに書き込むと、下のリストの「翌月計画」の欄に「単一建物人数」に設定された計画が表示されます。
「施設設定」ボタンを押した場合は、上のリストで選択した施設に属する患者さんのカルテだけに書き込みます。
「個別設定」ボタンの場合は、下のリストで選択した患者さんのカルテだけに書き込みます。
計画を修正したあとに、再度「〜設定」ボタンを押すと、カルテの「単一建物人数」は上書きされます。
設定後にカルテを確認すると翌月の1日付けで「単一建物人数」が入力されているのがわかります。
これで、当月の計画の設定はおわったので、通常通りに入力していけば計画通りの区分の訪衛指あるいは居宅療養指導管理が自動算定されます。
「単一建物人数」について
カルテに入力された「単一建物人数」は、その月に算定される訪衛指あるいは居宅療養指導管理の区分を規定するものですが、同時に、訪衛指算定時の単一建物人数が二人以上の場合や、例外の場合の摘要欄記載を自動化する機能も併せて持っています。
訪衛指算定時に必要な摘要欄記載には3つあります。
・単一建物人数が二人以上の場合はその人数を記載する
・単一建物人数が二人以上の場合で、一人の区分で算定する場合の例外の該当条件を記載する
・月の途中で人数が変化する場合、その理由を記載する
これらの摘要欄記載も「単一建物人数」で管理します。
通常は「単一建物管理」で設定済みですので修正等の必要はないですが、訪問先が変更になったりした場合などはマニュアルで追加して内容を修正する必要があります。
カルテに入力された「単一建物人数」をダブルクリックして開くとこのような画面になります。
「制度区分」は訪衛指と居宅療養指導管理のどちらで算定するかを決めます。
「単一建物区分」は算定区分です。
「単一建物人数」はその月に計画された単一建物における人数です。
「例外」は「単一建物人数」が二人以上なのに「単一建物区分」が一人の場合の例外条件を設定します。
「人数が変更になった理由」には月の途中で算定区分が変化した時の理由を記載します。
「訪問先・理由」について
「単一建物管理」機能の追加に伴って、カルテに入力した「訪問先・理由」項目の内容が変更になってます。より厳密に「建物」を管理区分するための変更です。
「単一建物管理」機能を使う前に、「訪問先・理由」項目の内容を確認し、必要に応じて修正をおこなってください。
カルテに入力された「訪問先・理由」をダブルクリックして開くとこのような画面になります。
修正点というか、大事な部分は以下の部分です。
「種別」プルダウンメニューから、その建物の施設種別を選択します。
「施設名・建物名」には、建物の名前をいれます。種別が自宅で一戸建てであれが省略します。自宅であってもマンションやアパートのような集合住宅の場合は建物の名称をいれます。病院の場合は、病院名と病棟名をいれます。この名前で建物を区別しますので、同名で違う建物の場合、数字や記号を追加するか「〇〇町のXXアパート」みたいな感じで区別できるようにしてください。
集合住宅の場合「戸数」にその建物の総戸数を入力しておくと戸数の例外を自動的に処理します。
種別が認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)の場合は、「ユニット名」に、ユニットの名前をいれてください。
同一世帯の例外を判定するために「世帯名」のところに世帯主の名前(区別可能なら苗字だけ、同性がいる場合は名前も)を入力します。
様々なケース
治療の中止あるいは患者死亡等で人数が減るケース
治療の中止あるいは患者死亡で翌月から受診しないことが明確になった場合は、次のようにします。
通常通り集計します。
その患者さんが所属する施設をクリック
①その患者さんをクリックして選択
②設定指示のプルダウンメニューから「対象外」を選択。リストの「指示」が「なし」になるのを確認
③「再評価」ボタンを押す。
人数を再集計し、妥当な区分を再評価します。結果はリストに表示されます。
この例の場合は、一人の患者さんが中止になったので、単一建物人数が二人から一人に変更になり区分が変更になります。
この状態で「〜設定」ボタンを押すと、カルテの「単一建物人数」が上書きされます。「なし」に設定した患者さんで、すでに「単一建物人数」が入力済みであった場合は、カルテから削除されます。
新規に訪問診療を開始する場合(自宅等で明らかに単一建物人数が一人の時)
訪問診療の新患で、訪問先が自宅とか新規の建物とかで明らかに単一建物人数が一人の時は、単純に訪問診療を開始し、「一人」の区分の訪衛指あるいは居宅療養指導管理を算定します。
新規に訪問診療を開始する場合(訪問先の建物に訪問実績がある場合)
訪問診療の新患で、訪問先の建物に、すでに訪問診療中の他の患者さんがいる場合は、次のように処理します。
まず、訪問先の実績(計画)を確認します。6月に診療を開始するのであれば、5月分の「単一建物管理」画面にして「集計」ボタンを押して集計します。
訪問先施設の行をクリックして選択し、「翌月計画」の人数を確認します。この人数に一人足した人数がこの患者さんにとっての「単一建物人数」です。この人数を基に、例外に該当するかどうか等を勘案して算定区分と摘要欄記載を決定します。自動ではありません。
なお、この時、「実績」のところの人数は使わないでください。実績の人数は、施設毎の人数で建物毎の人数ではありません。(同じ建物に複数の施設が入っているケースがあるためです。)
画面の例では「たんぽぽホーム」に新しい患者さんが増えるケースです。もともと「たんぽぽホーム」に一人の患者さんがいたので、新患のかたの「単一建物人数」は二人になり、2〜9人の区分で訪衛指を算定することになります。
通常通りに訪問診療の入力をして、決定した区分の訪衛指(あるいは居宅療養指導管理)を算定します。画面の例では、2〜9人の区分で算定することにしたので、「訪衛指2」を選択しています。
カルテに入力したら、「単一建物人数」を追加します。
追加する場所は、初診(あるいは再診)の下に入力します。
「単一建物人数」は、「訪問診療」セットの中にあります。算定区分毎に入力する項目が違いますので、算定区分にあった「単一建物人数」を選びます。(入力後に修正できますので、間違っても問題ないです。)
入力された「単一建物人数」をダブルクリックして開いて、「単一建物人数」や「例外」の項を正しく設定しなおします。これで摘要欄の記載が正しくなります。
以後は通常通り入力していけば算定区分は自動的に決定されます。
入院等で訪問先が変更になり、単一建物人数が変化する場合
老人ホーム等で暮らしていた患者さんが病状の悪化や転倒等の怪我等で入院し、訪問先が変更になりそれに伴って単一建物人数が変化する場合は、次のように処理します。
具体例でみていきましょう。画像では6/5日は単一建物人数が二人の施設に訪問診療をした患者さんです。その後、入院されてその入院先に訪問診療をしました。
入院後の訪問診療時の入力画面です。訪問先を変更します。
訪問先を変更すると、訪衛指の算定制限が解除されるので、新しい訪問先の単一建物人数に応じた算定区分の訪衛指を選択します。
この例では、入院先は一人の区分なので、訪衛指1を選択してます。もし、逆に退院して元の施設に戻るという場合は、一つ前のケースのように「単一建物管理」で施設の実績を調べて、適切な区分を選択するようにします。
入力が終わったら、先のケースと同じように再診の次の行あたりに「単一建物人数」を入力します。
「単一建物人数」をダブルクリックして開きます。
算定区分が変わったので、その理由を入力します。ここに入力された内容が摘要欄に表示されます。
以上
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