オンライン資格確認システムの導入方法(その17)
前回からの続きです。
小目標62: カルテメーカーのオンライン資格確認機能を一時的に停止する
ネットワークの変更によって一時的にファイル共有ができなくなります。ファイル共有ができない状態でカルテメーカー側のオンライン資格連携機能を開始するとファイル共有部分でシステムエラーが発生してカルテメーカー自体の運用ができなくなってしまいます。そこで事前に連携機能をストップしておきます。
サーバーで
Macなら「カルテメーカー」メニューから「環境設定」、Winなら「ファイル」メニューから「設定」を開きます。
「資格確認」ページを開きます。
「オンライン資格確認」のチェックを外します。
「OK」ボタンを押して設定を保存します。
設定が終わったらカルテメーカーは終了しておきます。
小目標63: HGWのLAN側の設定を変更する
次にHGWのLAN側の設定を変更して新しいIPアドレスのサブネットにします。今回の例では「192.168.20.x」のIPアドレスのネットワークに変更する設定となります。「小目標60:現在のDHCPサーバの設定を確認する」と同じようにHGWあるいはブロードバンドルータの設定画面を開いて設定していきます。
ホームゲートウェイ(HGW)/ひかり電話ルータの場合
*ひかり電話をご利用の場合、あるいはひかり電話を使わないがNTTからホームゲートウェイ(HGW)をレンタルされている場合です。
管理画面を、ホームゲートウェイ(HGW)/ひかり電話ルータの説明書の従って開いてください。開く時に使うコンピュータは使い慣れたいつものコンピュータがいいでしょう。
一般的には次のように操作します。
- お使いのコンピュータ(インターネットに繋がってるコンピュータ)のIPアドレスを調べる。通常はそのIPアドレスの最後の数字を「1」にしたものが、ルーターのアドレスになります。もし、これが違っている場合は、デフォルトゲートウェイのアドレスがそれです。
- 192.168.1.6なら192.168.1.1が管理画面のアドレス
- お好きなブラウザ(IE、edge、safari、Chrome)を起動してアドレス欄に「http://192.168.1.1」のようにいれてリターン
- ユーザーネームとパスワードの入力画面になりますで、それを入力。説明書、添付書類、機器のシール等に書いてあるはずです。
- 正しく入力すると、通常はIPv4の設定画面が表示されるかと思います。(機器によって違います)
続けて次のように操作して新しいIPアドレスになるように設定します。
左のメニューから、詳細設定→DHCPv4サーバ設定 と選択
IPアドレス/ネットマスク
LAN側IPアドレス 例の場合192.168.20.1に変更
サブネットマスク 例の場合255.255.255.0(通常は変更なし)
DHCPサーバ
開始IPアドレス 例の場合192.168.20.2
割当個数 例の場合 64(これも変更は必要ないと思われる)
設定を間違うと再接続できなくなりますので慎重に間違いなく入力してください。
アドレスを変更したら「設定」ボタンを押します。警告文に書いてあるように、即座に実行され接続が切れてしまいます。押す前に今一度、間違いがないかどうかを確認してください。
確認
ボタンを押すとHGWが再起動します。再起動して安定するのに2〜3分はかかりますのでゆっくり待ってください。(機種によっては再起動しない場合もあります。)
HGWの再起動が完了したら、ブラウザに新しいURLを入れて再接続します。新しいURLは例の場合であれば「http://192.168.20.1」です。無事に管理画面が開けば成功です。
管理画面では、左上の「保存」ボタンが赤くなってると思いますので、指示に従ってその「保存」ボタンを押して設定を保存します。
ブロードバンドルーターの場合
*ひかり電話を契約していないで、一般的なブロードバンドルーターを接続している場合です。
管理画面を、ブロードバンドルーターの説明書の従って開いてください。開く時に使うコンピュータは使い慣れたいつものコンピュータがいいでしょう。
一般的には次のように操作します。
- お使いのコンピュータ(インターネットに繋がってるコンピュータ)のIPアドレスを調べる。通常はそのIPアドレスの最後の数字を「1」にしたものが、ルーターのアドレスになります。もし、これが違っている場合は、デフォルトゲートウェイのアドレスがそれです。
- 192.168.1.6なら192.168.1.1が管理画面のアドレス
- お好きなブラウザ(IE、edge、safari、Chrome)を起動してアドレス欄に「http://192.168.1.1」のようにいれてリターン
- ユーザーネームとパスワードの入力画面になりますで、それを入力。説明書、添付書類、機器のシール等に書いてあるはずです。
- 正しく入力すると、設定の最初のメニュー画面になります。(機器によって違います)
以下はBuffaloのWSR-1166DHLPL2というブロードバンドルータを例にしています。違う機種の場合でも似た様な項目がありますので、そこで新しいIPアドレスを設定します。
詳細設定のボタンを押します。
左のメニューから、LAN→LAN と選択
LAN側IPアドレス
IPアドレス 例の場合192.168.20.1に変更
サブネットマスク 例の場合255.255.255.0(通常は変更なし)
割り当てIPアドレス
開始IPアドレス 例の場合192.168.20.2
割当個数 例の場合 64(これも変更は必要ないと思われる)
「設定」ボタンを押すと次の画面が表示されます。
もう一度「設定」ボタンを押すとブロードバンドルータが再起動します。WiFiが切れ接続が切れますが、焦らず、再起動し安定するのを待ってください。
確認
再起動を確認したら、ブラウザを起動して、LANの設定で設定した新しいIPアドレス(この例では192.168.20.1)でブロードバンドルータにアクセスします。例の場合であれば「http://192.168.20.1」といれれば、ログイン画面が表示されるはずです。(ログイン画面が表示されないで、いきなり管理画面になる時もあります。)
先ほどと同じ要領で、ログインしてください。無事に管理画面が表示されれば成功です。
小目標64: 設定済みのブロードバンドルータを組み込んで配線をつなぎ直す
小目標61で設定した新しいブロードバンドルータ(以後新ルータと言い換えます)を実際に設置していきます。HGWあるいは既存のブロードバンドルーターの横に設置して配線を切り替えていきます。
既存のネットワークの配線がこんな感じだとします。
この図の赤いLANケーブルとHGWに接続したWiFi(無線LAN)が切り替えの対象です。
まず最初は、HGWあるいはブロードバンドルータのLAN側のコネクターにLANケーブルを挿して、そのケーブルを新ルータのWAN側(INTERNET側)コネクターに接続します。
次にHGWのLAN側コネクタに繋がってるオンライン資格確認端末に繋がってるケーブルはそのままにして、それ以外のケーブルを新ルータのLAN側コネクタにつなぎ変えます。
また、HGWに繋がってるWiFi(無線LAN)も繋げてるPCやiPadの設定を変更して新ルータのWiFiにつなぎ変えます。
確認
配線に間違いがないかをよく確認したら、システム全体の電源をいれてください
小目標65: IPアドレス変更に伴う、各種機器の設定の修正をする
この設定では固定IPの機器が正常に動作するようにサブネットのIPアドレスが変わらないように設定しましたが、自動配布のIPアドレスの場合、最後の数字が変更になる場合があります。そのような機器の設定を見直す必要があります。
まず最初に確認して欲しいのは「カルテメーカー」のサーバーのアドレスです。サーバーを起動して最初に表示されるサーバーのIPアドレスを確認してください。変更になっていた場合、その新しいIPアドレスをクライアントの接続時に入力してサーバーに接続できることを確認してください。
小目標64でWiFiの切り替えをしましたが、今一度、HGWのWiFiに繋がってた機器が、新ルータのWiFIに繋がっているかどうかを確認してください。
インターネットを利用していた場合、インターネットに接続できるかどうかも確認してください。
オンライン資格確認端末で、ブラウザからオンライン資格確認システムに接続できることと、マイナンバーカードで資格確認ができること(ただし電子カルテでの確認はできません。faceフォルダにファイルが作成されることを確認してください)も確認してください。なお、この時点では電子カルテ(カルテメーカー)からの資格確認等の連携機能は利用できません。オンライン資格確認端末上でのみできる機能のチェックをしてください。
小目標66: オンライン資格確認端末のIPv4の設定を変更する
この連載では、オンライン資格確認端末のIPv4は固定IPで設定してあります(小目標44: オンライン資格確認端末のIPv4を設定する)。そのため、HGWのLAN側のIPアドレスを変更したことに伴い、オンライン資格確認端末のIPv4を手動で設定を変更して新しいIPアドレスにする必要があります。
設定方法は、ほぼ、「連載13 小目標44: オンライン資格確認端末のIPv4を設定する」と同じです。再掲します。
設定
1、スタートから設定を押します。
2、「ネットワークとインターネット」を押します。
3、「アダプターのオプションを変更する」を押します。
4、有効な(ネットワークに接続されている)アダプターを選択してダブルクリックして開きます。
5、「プロパティ」ボタンを押します。
6、「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」をダブルクリックして開きます。
7、IPアドレスを変更する。
この連載通りで設定している場合、IPアドレスは「192.168.1. 83」となっていると思いますが、これを「192.168. 20. 83」に変更します。
8、必ず「OK」ボタンで閉じる
これらの設定画面は必ず「OK」ボタンで閉じてください。
9、IPv4アドレスを確認する
下記の方法でIPv4アドレスを確認して、7で設定したアドレスであることを確認してください。
Windowsキー → 設定 → ネットワークとインターネット → プロパティまたは接続プロパティの変更 で、
スクロールしてプロパティのところの「IPv4アドレス」
または
コマンドプロンプト → ipconfig/allとタイプ
表示された「IPv4アドレス」
確認
オンライン資格確認端末のIPv4を確認して設定したアドレスになったら、「小目標66:オンライン資格確認端末のIPv4の設定を変更する」はクリアです。
小目標67: 電子カルテ側のパソコンのファイル共有の設定を修正する
小目標66でオンライン資格確認端末のIPアドレスが変更になったので、ファイル共有の設定が変更になります。
変更になるのは「小目標46・47: 電子カルテ側の設定をする」で、ファイル共有をした時にIPアドレスを使って共有フォルダを指定していた場合です。具体的には「¥¥192.168.1.83¥face」「smb://192.168.1.83/face」のようにIPアドレスが含まれている場合です。
ファイル共有が有効かどうかは、デスクトップにある共有フォルダへのショートカット・エイリアスをダブルクリックしてみるとわかります。IPアドレスを含んだ形式で共有フォルダを指定した場合は、オリジナルが不明ですとかエイリアスを解決できません等のエラーが表示されて開くことができないでしょう。
一方「¥¥MyCom¥face」や「smb://MyCom/face」のようにネットワークパスで指定した場合は、問題なく開くことができるかと思います。開くことができた場合は、以下の修正の必要はありません。
開けなかった場合は、まずはデスクトップにある共有フォルダまでのショートカットあるいはエイリアスを削除します。
その上で「小目標46・47: 電子カルテ側の設定をする」から「小目標49:「req」、「res」フォルダの共有設定をする」をもう一度行って、今度は「¥¥192.168.20.83¥face」「smb://192.168.20.83/face」等のように新しいIPアドレスでの共有フォルダのショートカット・エイリアスを作成してください。
Macの場合、起動起動項目に設定した共有フォルダも一旦削除後、再度、新しい共有フォルダを登録しておきましょう。削除と登録は「小目標55:Macの場合のみ必要な設定」を参考に行ってください。
確認
共有フォルダのショートカット・エイリアスをダブルクリックして共有フォルダにアクセスできたら「小目標67:電子カルテ側のパソコンのファイル共有の設定を修正する」はクリアです。
小目標68: 電子カルテ(カルテメーカー)のオンライン資格確認関係の設定を修正する
同じくオンライン資格確認端末のIPアドレスが変更になったので、カルテメーカーの連携の設定が変更になる場合があります。
これも、上記の場合と同じでこの設定画面のようにIPアドレスを指定して設定している場合です。(主にWinです。この連載に沿って設定している場合MacではIPアドレスを含んでいないのでそのままで大丈夫です。)
ここの各フィールドの「¥¥192.168.1.83¥face」を新しいIPアドレスの「¥¥192.168.20.83¥face」のように変更します。
カルテメーカーのオンライン資格確認(連携)機能を再開する
最後に「小目標62:カルテメーカーのオンライン資格確認機能を一時的に停止する」で停止していた連携機能を再開させます。
「オンライン資格確認」のチェックをつけます。
「OK」ボタンを押して設定を保存します。
設定が終わったらカルテメーカーを再起動します。
確認
カルテメーカーを起動しオンライン資格確認の資格確認等をカルテメーカーからできるようになったら、「小目標68:電子カルテ(カルテメーカー)のオンライン資格確認関係の設定を修正する」はクリアです。
これで、一応オンライン資格確認の導入は完了です。本当に長い間お疲れさまでした。
歯科電子カルテシステム・カルテメーカー は利用料月額16,500円(税込)
MacとWinの両方で利用可能な電子カルテです。介護保険にも対応してます。
カルテメーカーの詳細はカルテメーカー・ホームページまで。
カルテメーカーを実際に動かしてみたいときは評価版をダウンロードできます。
| 固定リンク
「カルテメーカー」カテゴリの記事
- マイナ保険証による公費情報の取得について(PMHへの対応)(2024.11.28)
- 医療DX加算改定に伴う設定について(2024.10.01)
- 長期収載品の選定療養導入に伴なう処方入力の変更について(2024.09.29)
- 訪問診療でのオンライン資格確認方法(居宅同意取得型)(2024.06.11)
- カルテメーカーのペーパーレス運用について(2024.04.29)
「レセプト・オンライン化」カテゴリの記事
- 新しいオンライン請求方法(操作編)(2023.09.09)
- ロジテック製オン資格機能プレインストールPCのセットアップ方法(その2)(2022.07.23)
- ロジテック製オン資格機能プレインストールPCのセットアップ方法(その1)(2022.07.23)
- オンライン資格確認システムの導入方法(その18)(2022.07.19)
- オンライン資格確認システムの導入方法(その17)(2022.07.18)
「操作方法」カテゴリの記事
- マイナ保険証による公費情報の取得について(PMHへの対応)(2024.11.28)
- 医療DX加算改定に伴う設定について(2024.10.01)
- 長期収載品の選定療養導入に伴なう処方入力の変更について(2024.09.29)
- 訪問診療でのオンライン資格確認方法(居宅同意取得型)(2024.06.11)
- カルテメーカーのペーパーレス運用について(2024.04.29)
「オンライン資格確認」カテゴリの記事
- マイナ保険証による公費情報の取得について(PMHへの対応)(2024.11.28)
- 訪問診療でのオンライン資格確認方法(居宅同意取得型)(2024.06.11)
- オンライン資格確認システムの環境設定情報更新(2024.03.02)
- 新しいオンライン請求方法(操作編)(2023.09.09)
- 新しいオンライン請求方法(設定編)(2023.09.09)
コメント
非常にわかりやすい導入プログラムの説明、ありがとうございます。
おかげさまで無事、自力導入することができました。
一番苦労したのは、配信アプリケーションでした。HGWの接続ですが、クラウドに変更していたのです。こちらのサイトを見て、ようやく気がつきました。
誠にありがとうございました。また、IPv4のゲートアドレス無効化で接続もばっちりです
いくつか
・当院では、電子カルテは二重ルーターの下につないでます
HGW -- 192.168.15.xx --Router -- 192.168.11.x
この一番最下層にオンライン資格を接続しても問題なく動作しています。
ブログでは控えるようにと書かれていましたが、不要ではないかと考えます。
現在の導入では、 Javaのインストールはなくなっています。
来月からは、本格的にデビューできそうです。
このブログはPanasonicの顔認証リーダーの 906 errorで検索してヒットしました。
コレも大変助かりました。
投稿: 小野俊一 | 2022年9月28日 (水) 18時22分
大変参考になります。当院も同じように分離して接続していますが
オンライン確認端末 192.168.1.*
レセコン側 192.168.20.*
として設定しておりました。ファイルの共有をしようとすると
確認端末のIPにPINGは通る物の、共有が出来ません。
\\端末機名\face とすると見つからず
\\192.168.1.*\face とすると「192.196.1.*には繋がっていますが……」となります。
トラブルシューティングは
「リモート コンピューターはポート 445 での接続に応答していません。
ファイアウォールまたはセキュリティ ポリシーの設定、あるいはリモート
コンピューターが一時的に利用できないことが原因である可能性があります」
とありますが、ファイアウォールをOFFにしても接続出来ないという事で
頭を抱えています……
投稿: | 2022年11月23日 (水) 22時36分
自己解決致しました。こちらのサイトで使われているバッファローではなく
NECのルーターを使っていたのですが、設定方法が少々違うようなのです。
「NDプロキシを使用する」
という設定が無いのですね。色々考えていて、今までのなかでポートの幾つかが
閉じていたりすると動かない事を思い出しました。ポート137と445です。
もしかしてと思ってIPパケットフィルタを見てみたところ、TCPでの、このポート
のデーターを廃棄する設定になっていたようなのです。
(PINGは通るので気が付きませんでした)そこで、これを許可にしたところ
特にWindows側の設定をいじらなくても接続が出来るようになりました。
お騒がせいたしました。徹夜でやってダメでも、解決は一瞬なのですね……
投稿: | 2022年11月24日 (木) 11時08分
NECのAtermシリーズだと、たぶんIPv6ルータ機能がONになってると、NDプロキシと同じ状態だと思います。AtermのIPv6の場合、プロバイダごとの設定しかないので、ちょっと自由度が少ないんですよねぇ、それでバッファローにしました。
投稿: | 2022年11月25日 (金) 14時20分