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2022年7月19日 (火)

オンライン資格確認システムの導入方法(その18)

前回で一応システム全体が完成しました。連載のその16、17で解説した方法は、院内LAN側にX線装置などの固定IP(手動設定)の機器が存在する場合でしたが、院内LAN側にカルテメーカーとプリンタ等しかなく固定IPの機器が存在しないのであればもっとシンプルにネットワークの修正ができます。次のようなステップで修正していきます。

  • 新しく導入するブロードバンドルータの事前設定をする
  • 設定済みのブロードバンドルータを組み込んで配線をつなぎ直す
  • IPアドレス変更に伴う、各種機器の設定の修正をする

 


 

小目標69: 新しく導入するブロードバンドルータの事前設定をする

「小目標61: 新しく導入するブロードバンドルータの事前設定をする」とほとんど同じです。

新たに購入したブロードバンドルータの設定をしていきます。なお、以下の例ではBuffaloのWSR-1166DHLPL2というブロードバンドルータを使っています。Buffaloなら違う機種でもほぼ操作は同じでしょう。違うメーカーの場合は似た様な機能を説明書から探してみてください。

まずは単独で設定をはじめます。WSR-1166DHLPL2に電源だけつなげて起動します。

適当な(使い慣れた)コンピュータをこのWSR-1166DHLPL2に接続して設定します。お勧めはWiFiでの接続です。コンピュータのWiFiの設定で、WSR-1166DHLPL2のSSIDのWiFiを選択し、暗号化キーを入力して接続します。有線の場合は、WSR-1166DHLPL2のLAN側コネクタ(LAN1など)にケーブルを差して、それをお使いのコンピュータに接続してください。

この時、この接続以外の接続は必ずケーブルを抜くなどして切断しておいてください。例えばWiFiでこのWSR-1166DHLPL2に接続した上で、有線で既存のネットワークに接続している場合など、このケーブルを抜いて接続を切ってください。

はじめて接続した時には次のような画面が表示されます。この画面の下の方にWSR-1166DHLPL2の管理画面のアドレス(この場合192.168.11.1)が表示されていますので、これをメモしたら閉じちゃってください。

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次にお好きなブラウザ(EdgeとかSafariとかChromeとか)を起動し、アドレス欄に「http://」に続けて先ほどのアドレスをいれて(http://192.168.11.1)リターンを押すとログイン画面になります。(Buffaloは初期状態では192.168.11.1が管理画面です。)

ユーザー名とパスワードは、機器の下に書いてある「本機ログイン用」と書かれたとこにあるユーザー名とパスワードになりますので、これを入力します。

管理画面のホームページが表示されるので、右下の詳細設定のボタンを押して詳細設定画面にします。

WAN側(インターネット側)の設定

左のメニューから Internet→Internet と選択

DHCPサーバーからIPアドレスを自動取得」を選択

設定」ボタンを押して設定。ウエイト画面になりますので設定が有効になるまで待ってください。

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アドレス変換が有効かどうかを確認

左のメニューから Internet→アドレス変換 と選択

表示された画面で「アドレス変換」で「使用する」にチェックが入っていることを確認

もし入っていなければ、チェックして「設定」ボタンです。

この設定でステートフルインスペクション機能(SPI)も有効になります。

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IPv6の設定

インターネットへの接続がIPv6(IPoE接続)の場合は、IPv6の設定をしておかないとIPv6での通信ができなくなります。IPv4での通信は可能ですのでこれを設定しなくとも繋がることはつながるのですが、せっかくのIPv6のメリットが活かせなくなりますので、必ず設定してください。また、これを設定することで、IPv6でもIPv4と同じ様なステートフルインスペクション機能(SPI)が有効になりオンライン資格確認側からの攻撃を防ぐ様になりますのでので、忘れずに設定してください。

インターネットへの接続が従来通りIPv4(PPPoE接続)の場合も、この設定をするのですが、この場合は、IPv6を遮断するようにしてください。無用な通信をしないためと確実にオンライン資格確認側からの攻撃を防ぐためです。

左のメニューから Internet→IPv6 と選択

IPv6で接続されている場合は、表示された画面で「NDプロキシを使用する」を選択

IPv4で接続されている場合は、表示された画面で「IPv6を使用しない」を選択

設定」ボタンを押して設定を完了します。

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LAN側の設定をする

次にLAN側の設定です。ここでLAN側のIPアドレス、DHCPサーバの設定をするのですが、この設定をするとWSR-1166DHLPL2が再起動し、WiFiやネットワークが遮断され、IPアドレスが変わるのでブラウザとの接続が切れます。設定する内容を間違えると再接続ができなくなりますので、慎重に行ってください。

設定するIPアドレスはオンライン資格確認端末に設定したIPアドレスと違っていれば、基本なんでもいいです。この連載では「192.168.1.x」がオンライン資格確認端末のネットワークのIPアドレスでしたので、「192.168.10.x」とか「192.168.20.x」とか違う数字の並びのIPアドレスを設定すればOKです。

左のメニューから LAN→LAN と選択

表示された画面でIPアドレスを設定します。次の例は「192.168.20.x」の場合です。

LAN側IPアドレス
IPアドレス  例の場合 192.168.20.1(最後の数字は1)
サブネットマスク  例の場合 255.255.255.0
DHCPサーバー機能使用するチェック
割り当てIPアドレス
開始IPアドレス  例の場合 192.168.20.2(最後の数字は2)
割当個数  例の場合 64

この時設定する値は何度もチェックしてください。間違うと面倒なことになります。

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設定」ボタンを押すと次の画面が表示されます。

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もう一度「設定」ボタンを押すとWSR-1166DHLPL2が再起動します。WiFiが切れ接続が切れますが、焦らず、再起動し安定するのを待ってください。

確認

再起動を確認したら、WiFiを繋ぎなおします。WSR-1166DHLPL2のSSIDのWiFiを選択します。今度はキーの要求はなく接続できるはずです。

WiFiが接続できたら、ブラウザを起動して、LANの設定で設定した新しいIPアドレス(この例では192.168.20.1)でWSR-1166DHLPL2にアクセスします。例の場合であれば「http://192.168.20.1」といれれば、ログイン画面が表示されるはずです。

先ほどと同じ要領で、ログインしてください。そして同じ様に右下の詳細設定のボタンを押して詳細設定画面にします。

通常ならこの操作で ステータス→システム の画面が最初に開くのですが、もし違うようでしたら、左のメニューから ステータス→システム と操作してステータス画面にしてください。

この画面で設定が正しいかどうか、今一度チェックしてください。

20220623-164345

確認が終わったら、WSR-1166DHLPL2との接続を切り、お使いのコンピュータを元のネットワークに戻しておきましょう。設定の完了したWSR-1166DHLPL2は、電源を落としておきます。


 

小目標70: 設定済みのブロードバンドルータを組み込んで配線をつなぎ直す

「小目標64:設定済みのブロードバンドルータを組み込んで配線をつなぎ直す」と同じです。

小目標69で設定した新しいブロードバンドルータ(以後新ルータと言い換えます)を実際に設置していきます。HGWあるいは既存のブロードバンドルーターの横に設置して配線を切り替えていきます。

既存のネットワークの配線がこんな感じだとします。

この図の赤いLANケーブルとHGWに接続したWiFi(無線LAN)が切り替えの対象です。

Untitled-56_20220718130701

まず最初は、HGWあるいはブロードバンドルータのLAN側のコネクターにLANケーブルを挿して、そのケーブルを新ルータWAN側(INTERNET側)コネクターに接続します。

Untitled-56

次にHGWのLAN側コネクタに繋がってるオンライン資格確認端末に繋がってるケーブルはそのままにして、それ以外のケーブルを新ルータのLAN側コネクタにつなぎ変えます。

また、HGWに繋がってるWiFi(無線LAN)も繋げてるPCやiPadの設定を変更して新ルータのWiFiにつなぎ変えます。

Network-diagram-1_20220718132401

確認

配線に間違いがないかをよく確認したら、システム全体の電源をいれてください。新たにIPアドレスが配布されてシステム全体が安定するまで待ってください。10分程度経てば安定するでしょう。


 

小目標71: IPアドレス変更に伴う、各種機器の設定の修正をする

この設定では固定IPの機器がないことが前提ですので、特に手動で変更する機器はありません。ただし、カルテメーカーのサーバーのIPアドレスが確実に変わってしまうので、それだけ確認する必要があります。

カルテメーカーのサーバーを起動して最初に表示されるサーバーのIPアドレスを確認してください。その新しいIPアドレスをクライアントの接続時に入力してサーバーに接続できることを確認してください。

インターネットを利用していた場合、インターネットに接続できるかどうかも確認してください。

固定IPが無いのが前提ですが、もし、固定IPの機器が存在するのであれば、それらの機器のIPアドレスを手動で修正してください。それに伴ってアプリケーションの設定が必要な場合も、新しいIPアドレスに対応するように設定を修正してください。

確認

この設定方法の場合、カルテメーカーを起動すると、そのまま従来通りに資格確認が可能なはずです。頭書からの資格確認、マイナンバーカードでの資格確認等、一通りの機能が正常に動作することを確認してください。


 

以上で、院内LAN側に固定IPが無い場合の設定方法を解説してきました。前回に比べるととてもシンプルに変更できます。固定IPがある場合で、上記の方法で修正してもいいのですが、その場合は、固定IPの機器の設定をすべて手動で変更し、その機器で動作するアプリケーションの設定も変更しないといけません。機器が少ないのであれば、どちらの方法が手間がないかと考えて方法を選択するといいでしょう。

 


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