オンライン資格確認システムの導入方法(その14)
ファイル共有ができれば、あとは電子カルテ側の設定になります。今回はカルテメーカーの設定例です。他のメーカーはそれぞれのメーカーにお問い合わせください。
小目標50: カルテメーカーの動作
オンライン資格確認端末とカルテメーカーの連携は、共有フォルダを通じてファイルをやりとりすることで行われます。簡単に動作を説明します。
マイナンバーカードで受診した場合
マイナンバーカードで受診した場合、「小目標38: マイナンバーカードで資格確認をしてみる」で確認したように「face」フォルダに資格確認の結果ファイルが書き込まれます。カルテメーカーは、このフォルダにファイルが書き込まれるのを一定間隔(数秒間隔)で監視します。この監視を行う端末を「実行マシン」と言います。
ファイルが書き込まれるとそれを読み込んで、指定されたカルテメーカーの端末に送信します。この送り先の端末は「受付マシン」です。
読み込みが終わると読み込んだファイルは削除して、また監視を継続します。
カルテメーカー側から資格確認をする場合
保険証で受診する場合や、来院時自動資格確認の場合など、カルテメーカーから資格確認の要求をする時は次のような動作になります。
確認を行う端末は「実行マシン」に資格確認をするように要求します。「実行マシン」は資格確認の命令の種類に応じたコマンドを含む「要求ファイル」を作成して、オンライン資格確認端末の「req」フォルダにそのファイルを書き込みます。
オンライン資格確認端末の連携アプリケーションは、「req」フォルダのファイルが書き込まれるとそれを読み込んで、オンライン資格確認システムに資格確認の要求を出します。確認結果をファイルにして今度は「res」フォルダに書き出します。
カルテメーカーの「実行マシン」はこの「res」フォルダにファイルが書き込まれるのを一定間隔(数秒間隔)で監視し、ファイルが書き込まれるとそれを読み込んで、資格確認の要求を出した端末に結果を送り返します。
「実行マシン」は結果ファイルを読み込むと「res」フォルダのその結果ファイルを削除し、また監視を繰り返します。
実行マシン
上記のように実行マシンは、実際にオンライン資格確認端末と通信をするカルテメーカーの端末です。ですので、このコンピュータからオンライン資格確認用端末の共有フォルダを必ず共有していないといけません。前回の記事に従って必ずフォルダの共有を行なってください。
連携の処理自体はバックグランドで行われますので、同じ端末でカルテメーカーの通常の業務を全て行うことができます。
端末はサーバーでもクライアントでもかまいません。ただし、何らかの原因でファイル共有ができなくなると、Macの場合、警告ダイアログが表示されて全機能が使えなくなります。Winの場合は、処理が異常に遅延します。どちらの場合でもサーバーの場合はシステム全体に影響がでてしまいますので、できればクライアントを割り当てることをお勧めします。
受付マシン
受付マシンはマイナンバーカードの受診結果を受け取る端末です。この端末では必ず「受付画面」を表示してください。「受付画面」が受付処理を実行します。この端末で「受付画面」を表示していないと他の端末で「受付画面」を表示していても受診の結果が表示されません。
受付マシンもサーバーでもクライアントでもどちらでもかまいません。実行マシンと違って制約がないので好きな端末を割り当ててください。
実行マシンと受付マシンは同一の端末でも、まったく問題ありません。
最初の構成
以上のように、カルテメーカーでのシステムの構成はとても自由度が高いのですが、現状、確実に動作を確認する意味でもっとも基本的な構成で説明をしていきます。
実行マシンは「小目標46、47: 電子カルテ側の設定をする」でファイル共有を確認した端末にします。受付マシンも同じ端末にします。この端末はサーバーでもクライアントでもどちらでもかまいません。
小目標51: サーバーでの設定
実行マシン、受付マシンに関係なく「サーバー」で次の設定をします。
Macなら「カルテメーカー」メニューから「環境設定」、Winなら「ファイル」メニューから「設定」を開きます。
「資格確認」ページを開きます。
この赤く囲った部分の設定をします。
「オンライン資格確認」は「稼働」をチェックします。オンライン資格確認用のカルテメーカーのライセンスがない場合は、グレーになってチェックできません。右端にライセンスの有無が表示されています。ライセンスは私まで直メールでお申し込みください。
「実行マシン名」と「識別コード」は実行マシンのマシン名と識別コードです。実行マシンでこの設定画面を開き、「通信」ページに表示されるマシン名と識別コードをいれてください。
「受付マシン名」は受付マシンのマシン名です。これも受付マシンでこの設定画面を開き、「通信」ページに表示されるマシン名をいれてください。なお、今回は同一マシンで検証するので「実行マシン」と同じマシン名にしてください。
「来院時資格確認」の「実施」もチェックします。文字通り、来院ボタンを押した時に自動的に資格確認をおこなう機能です。
「限度額認定証」の「情報なし」は必ずチェックを外してください。これは、初期の頃、認定証の情報を制限していた時のためのチェックで、現在は提供されていますのでチェックを外してください。
以上で、サーバーの設定は終わりですので、「OK」ボタンを押して設定を保存します。
確認
もう一度設定を開いてみて上記のように設定されていたら、「小目標51:サーバーでの設定」はクリアです。
小目標52: 実行マシンでの設定
次に「実行マシン」で設定をします。サーバー、クライアントに関係なく「実行マシン」で設定を行なってください。
サーバーでの設定と同じように設定画面を開き、資格確認ページにします。
この赤く囲った部分の設定をします。
「連携フォルダ」で、前回共有設定したreq、res、faceフォルダを指定します。「実行マシン」がMacの時とWinの時で異なりますので別々に解説します。
Macの場合
Macの場合、上記のように「req:」「res:」「face:」と半角でいれます。どれもボリュームとしてマウントされていますので、HDと同じように名前にコロン「:」をつけたパス表記になります。
Winの場合
Winの場合は、それぞれのフォルダのネットワークパスをいれます。形式はコンピュータ名+フォルダ名(¥¥PCname¥face¥)あるいはIPアドレス+フォルダ名(¥¥192.168.1.83¥face¥)のどちらでもいいのですが、必ず、接続時にパスワードをいれたほうを設定してください。
コンピュータ名+フォルダ名(¥¥PCname¥face¥)で検索して、パスワードを入れ接続したならコンピュータ名+フォルダ名(¥¥PCname¥face¥)です。違う形式にすると再起動時に接続できなくなります。
監視間隔とタイムアウト
「監視間隔」はface、resフォルダを監視する間隔です。1/60秒(Ticks)で設定します。初期値は300Ticks(5秒)です。5秒に1回フォルダの中にファイルができてないかをチェックします。かなりのマージンをとっていますので、60Ticks(1秒)くらいまでは短くして大丈夫です。実際に利用してみて随時短くしていくといいでしょう。もちろん短い方がレスポンスが良くなります。
「タイムアウト」はカルテメーカー側から確認要求をだした時に、オンライン資格確認システムからの返事を待つ最大時間です。これを過ぎるとタウムアウトエラーが発生します。15秒に設定してありますが、これは特にいじる必要はありません。このままでOKです。
「テストデータ」は接続環境を使う時にダミーデータをプルダウンメニューで選択できる機能ですが、今は接続環境で使うことはありませんので、チェックを外しておいてください。
以上で、実行マシンの設定は終わりですので、「OK」ボタンを押して設定を保存します。
確認
もう一度設定を開いてみて上記のように設定されていたら、「小目標52:実行マシンでの設定<」はクリアです。
小目標53: カルテメーカーの再起動と共有の確認
カルテメーカーを終了
設定が終わったら、カルテメーカー全体を一旦終了します。サーバーもクライアントも終了してください。終了です。再起動はしないでください。
ファイル共有の確認あるいは開始
前回の「オンライン資格確認システムの導入方法(その13)」を済ませてすぐであれば、実行マシンでフォルダの共有が済んでいるはずですが、日をおいた場合、パソコンの再起動で共有が止まっているので、「オンライン資格確認システムの導入方法(その13)」で作ったショートカットやエイリアスをダブルクリックして、共有を開始してください。
確認
ファイル共有が確認できたら、「小目標53:カルテメーカーの再起動と共有の確認」はクリアです。
小目標54: カルテメーカーを起動し動作確認
カルテメーカーを起動します。システム全体を起動してください。起動直後にフォルダやボリュームがないというエラーが出る場合、「小目標52:実行マシンでの設定」で設定したネットワークパスやボリューム名が違いますので確認してください。
顔認証端末を試験する
「受付マシン」で「受付」画面を開きます。「ファイル」メニュー→総合情報、リストから「受付」です。「受付マシン」では常にこの「受付」画面を表示させたままにしてください。
この状態で、顔認証端末でマイナンバーを使って資格確認をしてください。正常に動作していれば、受付後数秒で「受付」画面に受診したマイナンバーの名前で患者さんが追加されます。
カルテメーカーからの資格確認を試験する
今度はカルテメーカーからの資格確認要求(連携機能)を試験します。
次のように操作してください。
1、適当な患者さんのカルテを開き「頭書」画面にします。
右側の中段あたりに「資格確認」というボタンがありますので、それを押してください。
2、資格確認のダイアログがでます
頭書の情報がすでに転記されていますので、そのまま「資格確認」のボタンを押します。
3、資格確認が行われます
資格確認の進捗ダイアログが表示されます。最初は少し時間かかります。数秒かかります。タイムアウトする場合、何らかのエラーが表示される場合、設定に問題がありますので、確認してください。
4、資格確認結果が表示されます
資格確認が正常に行われるとこのような画面が表示されます。最初は様々な資格上のエラーや警告がでますが、現時点ではそれには対応しないで「キャンセル」を押して閉じてください。エラーや警告にかかわらず、この画面が表示されれば正常に動作しています。
こんな感じにエラーや警告がでます。赤く囲った部分に何が問題か、またそれに対応する処理のボタンが表示されます。通常は赤く囲まれたボタンを選んでいけば対処できます。
今回はエラーがでても、キャンセルを選んで閉じてください。
以上の動作が確認できれば、オンライン資格確認等システムとカルテメーカーはほぼ正常に連携ができてます。ここまでのステップを確認しながら確実に進めていたのなら、問題なく動作すると思うのですがダメな場合は私までお問い合わせください。
確認
以上の動作を確認できれば、「小目標54: カルテメーカーを起動し動作確認」はクリアです。
小目標55: Macの場合のみ必要な設定
「実行マシン」がMacの場合、もう一つ設定が必要です。
MacでもWinでも、コンピュータを再起動するとフォルダの共有状態が解除されてしまいます。ですが、実行マシンがWinの場合はカルテメーカーが共有フォルダにアクセスしようとすると自動的に共有状態にしてくれます。残念ながらMacの場合はしてくれません。
カルテメーカーを起動する前にエイリアスをダブルクリックして明示的に共有すればいいのですが、毎回は面倒です。そこでMacの起動と同時に共有されるように設定します。
まずは、共有フォルダのエイリアスをダブルクリックしてフォルダを共有してください。
「アップル」メニュー → システム環境設定 → 「ユーザーとグループ」と開いてください。
上のタブで「ログイン項目」を選びます。
「+」ボタンを押します。
ファイル選択ダイアログが開くので、共有しているコンピュータを選び、表示された「face」フォルダを選択して「追加」ボタンを押します。
同様に「+」ボタンを押して、req、resフォルダも追加します。
リストにfase、req、resフォルダが表示されていればOKです。
コンピュータを再起動して3つのフォルダが共有されて、それぞれのウインドウが開けばOKです。
確認
Macを再起動してフォルダが共有されたら、「小目標55:Macの場合のみ必要な設定」はクリアです。
これでオンライン資格確認等システムを使えるようになりました。ですが、このままではアプリケーションのバージョンが古いままですので、自動的にアプリケーションをアップデートできるようにします。このアップデート処理をするのが配信アプリケーションというアプリで次回からはこのアプリケーションのインストールを行なっていきます。またwindowsのOSのアップデートもできるように環境を整えていきます。
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カルテメーカーの詳細はカルテメーカー・ホームページまで。
カルテメーカーを実際に動かしてみたいときは評価版をダウンロードできます。