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2021年11月12日 (金)

オンライン資格確認システムの導入方法(その11)

目標2: 顔認証端末を導入し、マイナンバーカードでの資格確認ができるようにする。

オンライン資格確認等システムへの接続が確認できたので、次は顔認証端末の設置とセットアップです。このブログではパナソニックの顔認証端末を例に解説していきます。他のメーカーに関しては申し訳ないですがそれぞれのメーカーにお問い合わせください。なお顔認証端末のサポートはそれぞれのメーカーがおこなっておりますので疑問や不具合等はメーカーへサポートをご依頼ください。

顔認証端末のセットアップの前に、オンライン資格確認端末PCの次の2つの設定を変更する必要があります。まずは最初にそれを済ませてしまいましょう。なお、この2つの設定は顔認証端末のメーカーに関わらずどのメーカーのものでも必ず行ってください。

1、スリープ設定、高速スタートアップの設定の無効化(小目標34)
2、時刻設定の変更(小目標35)

 


 

小目標34: スリープ設定、高速スタートアップの設定の無効化をする

オンライン資格確認端末は診療時間中は常に待ち受け状態でないといけません。そのためPCがスリープ状態になって動作できない状態になるのは好ましくありません。ですのでスリープしないように設定を変更します。

また、今のWindowsは起動の時間を短くするため、様々な設定を終了時に保存した状態を戻すだけの処理に済ませています。これからセットアップする顔認証アプリや連携アプリはシステムの深い部分を変更していたりするため、この高速スタートアップモードではそれらの設定の変更がPCのシステムに反映されないことがあります。このため、この高速スタートアップモードを無効化し、時間がかかっても確実に設定の変更がシステムの反映されるようにします。

設定の操作は、マニュアル「医療機関等向けセットアップ手順書(資格確認端末編)1.17版」(以下セットアップ手順書と略)に従って操作していきます。

セットアップ手順書の「3 Windowsの設定を変更する(配信アプリケーション準備等)」の「スリープ設定と高速スタートアップを無効にします」(P.14〜15)に従って操作をしてください。

ここでの注意点は2つ

画面もスリープしないにする

これはマニュアルとちょっと違う部分です。P14の④のステップで、「スリープ」だけを「なし」に設定していますが、その上の「画面」も「ディスプレイの電源の電源を切る」を「なし」にします。

これはパナソニックの顔人認証端末の画面がこのPCのマルチディスプレイとして登録されるため、PCの画面がスリープしてしまうと顔認証の画面も消えてしまうからです。顔認証端末のセットアップ時にこの設定をするのですが、この時点でまとめて設定してしまいます。

18

高速スタートアップを無効化する

大事なことなので注意しておきます。これをしっかり行っていないとこれから行う顔認証や連携アプリのセットアップで機器を認識しないとか原因不明のエラーが表示されたりしますので、確実に行ってください。

35

再起動する

面倒でもこの設定が済んだら再起動してください。起動に少し時間がかかることを確認してください。

確認

再起動に時間がかかること、時間が経過してもスリープしないことを確認したら、「小目標34:スリープ設定、高速スタートアップの設定の無効化をする」はクリアです。

 


 

小目標35: 時刻設定の変更

コンピュータの時計は定期的に「インターネット時刻サーバー」というサーバーに正しい時刻を問い合わせることによって時刻を補正しています。しかし、オンライン資格確認等システムの場合は端末がインターネットに接続されていませんので通常使っている時刻サーバーを利用できません。そこでオンライン資格確認等システムが独自に閉域IP-VPN内で運営する「インターネット時刻サーバー」に問い合わせるように設定を変更します。

セットアップ手順書の「3 Windowsの設定を変更する(配信アプリケーション準備等)」の「時刻の設定を変更します」(P.15〜16)に従って操作をしてください。

特に注意する点はないですが、つながらない場合は時刻サーバーのURLアドレス(ntp.base.oqs-pdl.org)のスペルミス等を確認してみてください。また、エラーがでても少し待ってから再度「すぐに更新」ボタンを押すと正常に繋がる場合も多いので、何度かトライしてみてください。

確認

セットアップ手順書のとおりに時計の同期が確認できたら、「小目標35: 時刻設定の変更」はクリアです。

 


 

小目標36: 顔認証端末の準備

いよいよ顔認証のセットアップです。まずは梱包を解きましょう。中に紙のマニュアル「取扱説明書(準備編)」が入っていますので、これに従ってUSBケーブルの接続、電源コードの接続、通電の確認をしていきます。顔認証アプリケーションのセットアップをするのは、顔認証端末をオンライン資格確認用端末PCに接続し、電源もつないで通電状態にしておく必要があります。顔認証端末の設置準備はそれほど難しくないのですが、ここで大きな落とし穴があります。

USBケーブルはUSB 3.xのコネクタの接続する

マニュアルには明記していないのですが、パナソニックの顔認証端末は必ずUSB 3.xに接続しないと動作しません。

私もテストの時はエプソンの前面のUSBに何気に差し込んで正しくセットアップと動作確認ができたのですが、いざ本番用に受付に設置する時に適当に背面のUSBに接続したところ動作しなくなって原因がわからずとても困りました。

エプソンのPCには背面にUSB2とUSB3の2種類のコネクタがあったということも知りませんでしたし顔認証がUSB3オンリーということも知らなかったので原因の特定に手間取ってしまいました。わかれば簡単なことなのですが、準備の際にはよく確かめて接続してください。ちなみにエプソンのPCではUSB3には「SS」と刻印されています。

確認

電源に接続されていることとUSBケーブルがちゃんとUSB3に接続されていることを確認したら、「小目標36:顔認証端末の準備」はクリアです。

 


 

追加小目標: 顔認証アカウントの確認

次の「小目標37:顔認証アプリのセットアップ」でつまづく方がたくさんいらっしゃるのですが、どれも原因は顔認証アカウントのユーザIDとパスワードを正しくいれていないからです。そこで、この時点で一つクエストを追加しました。

顔認証アカウントでログインできることを確認する

デスクトップの「オンライン資格確認等システム」のアイコンをダブルクリックしてオンライン資格確認等システムのサイトを開きます。「システムの利用を始める」ボタンを押して、「オンライン資格確認システムの導入方法(その9)」の「小目標31:顔認証用アカウントを追加する」で作成した「F0」で始まる顔認証用アカウントのユーザーIDとパスワードでログインします。

ログインできれば問題ありません。ログアウトしてオンライン資格確認等システムは終了してしまいましょう。

ログインできない場合は、ユーザIDとパスワードを確認してください。どうしてもログインできない場合は、そのアカウントの利用は諦めて、「オンライン資格確認システムの導入方法(その9)」の「小目標31:顔認証用アカウントを追加する」に従って新しい顔認証用のアカウントを作ってください。その上で、その新しい顔認証用アカウントでログインできることを確実に確認してください。

確認

顔認証用アカウントでログインできれば、「追加小目標: 顔認証アカウントの確認」はクリアです。

 


 

小目標37: 顔認証アプリのセットアップ

付属のDVD-ROMをセットしエクスプローラーで開くと、pdfのマニュアル「取扱説明書・本体編」がありますので、これをダブルクリックして開いてご一読してください。インストール方法は、このマニュアル通りです。8ページの「本機のセットアップ」からの操作を行ってください。

全体の流れは次のような感じです。

1、DVD-ROMの中の「Install.exe」をダブルクリックしてインストール(10分程度かかります)
2、ディスプレイのサイズ、位置、表示モードの設定
3、ログインID、パスワードの設定と接続確認
4、OSの設定確認(スクリーンセイバー停止、画面スリープの停止、USB節電モードの解除)
5、アプリケーションソフトの個別設定(医院名の設定)
6、再起動と動作確認

いくつか注意するポイントがあります。

ディスプレイ設定画面が早く開く

マニュアルだと確認のダイアログに答えてから表示されるように記載されていますが、1のインストールが済むとダイアログの表示より先にディスプレイ設定画面が開きますのでびっくりしないでください。開いたあとでゆっくりダイアログのOKボタンを押して片付けてください。その後マニュアルに従ってディスプレイの設定を進めてください。

デバイスIDの欄に顔認証用アカウントのユーザーIDをいれる

ログインID登録画面ではユーザIDを入れる欄の名前が「デバイスID」という全然関係ないタイトルなので、何をいれるのか迷ってしまいますが、ここに「オンライン資格確認システムの導入方法(その9)」の「小目標31:顔認証用アカウントを追加する」で作成した「F0」で始まる顔認証用アカウントのユーザーIDをいれます。

パスワードには、顔認証用アカウントのパスワードです。

「登録」ボタンを押すとオンライン資格確認等システムにログインします。ちょっと待つと「登録に成功しました。」というダイアログが表示されます。

このダイアログではなくエラーの表示が出た場合は、デバイスIDかパスワードが違います。慎重に入力するか「小目標31:顔認証用アカウントを追加する」のときに保存したメモ帳などからコピペしてみてください。

エラーへの対応

この時に表示されるエラーコードごとの対応方法です。パナソニックのQ&Aなどでは「資格確認端末顔認証機器セットアップ情報初期化ツール」の利用が指示されていますが、このツール自体がまともに動作しないので次の方法で対処してください

905:資格確認端末の予期せぬ設定処理エラー

このエラーは、顔認証アカウントのユーザIDかパスワードが違っているので発生してます。OKボタンを押してダイアログを閉じて、再度、正しいユーザIDとパスワードを入力してください。このエラーがレポートされる限り、どちらかが間違ってますので、どうしてもダメならもう一度顔認証のアカウントの確認するか、新しいアカウントを作成してください。

906:資格確認端末の予期せぬ設定処理エラー

アカウント情報を記録している「ReaderInfo.ini」ファイルが存在している状態でこのログインID登録処理を行うと発生します。正しいアカウント情報を入れてもダメです。顔認証用アプリケーションをアンインストールし、再度インストールしても「ReaderInfo.ini」ファイルが消えないので同じエラーが繰り返し発生します。このエラーはパナソニックの端末のバグといえるものなのですが最新バージョンでも改善されていません。次のように「ReaderInfo.ini」ファイルを削除すると正しく動作するようになります。

エクスプローラーでWindows(C:)を表示「ProgramData」フォルダを確認
「ProgramData」フォルダは不可視フォルダなので、表示されていない場合はエクスプローラーの「表示」メニューを開いて「隠しファイル」と「ファイル名拡張子」のチェックをつけてください。
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「ProgramData」フォルダが表示されたら、「ProgramData」フォルダ → 「OQS-Auth」フォルダと開くと「ReaderInfo.ini」ファイルが表示されますので(拡張子の違う同名のファイルがある場合がありますので、必ず拡張子を表示させて正しいファイルを確認してください。)そのファイルを削除します。
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削除したら、ユーザIDとパスワードをいれてアカウントの登録を行ってください。

再起動すると管理画面が表示される

再起動すると顔認証アプリケーションが自動的に起動します。左上に「顔認証付きカードリーダーアプリ管理画面」が表示されて中央部分に「起動中」と表示されます。数分待っていると「待機中」と変わります。「待機中」になれば正常に動作しています。

最初の起動時には「異常」と表示される場合もあります。この場合、右下の「終了」ボタンを押して管理画面を閉じた後で、デスクトップにある「顔認証付きカードリーダーアプリ」のショートカットをダブルクリックして、アプリケーションを再起動してみてください。

3のログインID、パスワードの設定で登録に成功していれば、よほどのことが無い限り「待機中」になるかと思います。

顔認証端末の画面の確認

顔認証端末の画面はマイナンバーカード受付の初期画面が表示されています。医院名が正しいことを確認しましょう。間違っている場合はマニュアル「4.4 アプリケーションソフトの個別設定」に従い「メッセージ編集アプリ」を使って医院名を修正してください。

確認

再起動後、「顔認証付きカードリーダーアプリ管理画面」が表示されて「待機中」になり、顔認証端末の画面表示で医院名が正しければ、「小目標37:顔認証アプリのセットアップ」はクリアです。

 


 

小目標38: マイナンバーカードで資格確認をしてみる

やっとマイナンバーカードの出番です。顔認証端末の画面の指示に従ってマイナンバーカードを置いて、顔認証をしてみましょう。画面の指示に従って操作していけば大丈夫です。

うまくいきましたか?

健康保険証利用の申込(初回登録)で失敗する

パナソニックの顔認証のアプリはDVD-ROMからインストールする都合上、一番最初のバージョンがインストールされます。このバージョンにはいくつかバグがありやや動作が不安定です。代表的なものは「健康保険証利用の申込(初回登録)」で異常終了してしまうものです。

まだ一度も保険証として使ったことのないマイナンバーカードの場合、次のような表示が出て、健康保険証利用の申込処理(初回登録)がはじまります。

20211111-232852

この処理はかなり重くて処理が終わるまで、15〜30秒程度かかります。パナソニックの初期バージョンではこの時間を待てなくて、通信異常と判断して「異常時(重故障)」と表示してアプリが停止してしまうことがあります。この状態になると回復の手段がなく、顔認証アプリケーションの再起動が必要になります。

こうなった場合は、管理画面の「終了」ボタンを押して終了し、あらためて「顔認証付きカードリーダーアプリ」のショートカットをダブルクリックして、アプリケーションを再起動してしてください。

顔認証端末は異常終了しても、通常は、保険証化の処理は正常に終了してますので、今度は初回登録画面は表示されないで資格確認の処理がはじまります。

後ほど、更新処理アプリケーションをインストールすることで自動的に顔認証アプリケーションが最新版にアップデートされます。最新版ではこのバグは修正されていますので、アプリケーションが止まることはなくなっています。

資格確認情報をみてみる

顔認証端末で正しく資格確認処理が終了すると、資格情報がダウンロードされてきます。これを確認してみましょう。

資格情報は「C:¥OQS¥face」フォルダにダウンロードされます。

「OQSsiquc01res_face_xxxxxxxxxxxxxxxxxxx_20211111121903.xml」みたいなファイルがダウンロードされてきます。

12

これを右クリックしてインターネットエクスプローラーで開いてみましょう。

13_20211112005601

するとこんな感じの内容が表示されます。保険者番号、記号番号、名前、住所、生年月日など資格情報が読み取れると思います。 14_20211112005401

確認

マイナンバーカードで資格確認をし、ダウンロードされた内容を確認できたら、「小目標38:マイナンバーカードで資格確認をしてみる」はクリアです。

そして「目標2:顔認証端末を導入し、マイナンバーカードでの資格確認ができるようにする。」もクリアです!

 


 

顔認証端末のセットアップが完了しました。次回は連携アプリケーションのセットアップになります。

 


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