訪問口腔リハを積極的にやってみよう!
正式名称は「在宅患者訪問口腔リハビリテーション」、今年新設された処置ですが、摂取機能障害に対する処置ということで、あまり真剣に対応していなかったのですが、ユーザーの先生からいろいろと要望があがってきたため勉強してみました。
パッと見、目立つのはその高点数です。1回550点、月4回まで算定可能、これだけで月2200点という点数です。包括された処置や検査を合算しても月1700点程度ですのでとても高い点数が設定されています。訪問診療と合わせると、6000点近くになります。
こういった高点数の処置は大抵ハードルが高いのですが、結論から言って、それほどハードルは高くないです。
脳出血、脳梗塞等で麻痺があり、食事がしにくいという症状があれば、迷うことなく実施すべき処置です。
目的
口腔疾患及び摂食機能障害を有するものに対して、口腔機能の回復及び口腔疾患の重症化予防
対象(条件)
- イ 発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害があるもの
- ロ 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるも のであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの
ということですが、「発達遅滞、顎切除及び舌切除」とか「内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影」とあるとハードルが高くて算定できそうもないと思うのですが、「脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害があるもの」というのは、割と一般的な訪問診療の対象患者さんですので、ケースとしては珍しくないといえます。
検査・治療計画策定
算定にあたっては、まず治療計画書の作成が必要です。計画書作成には以下の項目を診査して記入します。
- 全身の状態(基礎疾患の有無、服薬状況、肺炎 の既往等)
- 口腔内の状態(口腔衛生の状況、口腔粘膜の状態、口腔乾燥の有無、歯科疾患の状況、有床義歯の状況、咬合状態等)
- 口腔機能(咀嚼の状態、摂食・嚥下の状況及 び構音の状況、食形態等)等の評価
- 歯周病検査(無歯顎者を除く。)
歯周病検査は有歯顎の場合、算定要件になってますので、算定直前に検査するようにしましょう。ただしポケットの検査が困難な場合は、視診等だけでも良いですが、その場合、記載要領にはないですが摘要欄記載をしといた方がスムーズな感じがします。
口腔機能の検査は、視診等でもいいですが、算定要件に
管理計画に基づいて、定期的な口腔機能評価(摂食機能評価を含む)をもとに、その効果判定を行う必要がある
とありますので、オーラルディアドコキネシス、グルコース測定などの客観的なデータを取得できる検査を実施したほうがよいでしょう。
実施
では、どんな処置をするのでしょうか。それには包括された処置を列記すると見えてきます。
- D002 歯周病検査
- D002-5 歯周病部分的再評価検査
- I011 歯周基本治療
- I011 -2 歯周病安定期治療(I)
- I011-2-2 歯周病安 定期治療(II)
- I011-3 歯周基本治療処置
- I030 機械的歯面清掃処置
- H001 摂食機能療法
- B000-4 歯科疾患管理料
- B002 歯科特定 疾患療養管理料
- C001-3 歯科疾患在宅療養管理料
- B000-6 周術期口腔機能管理料(I)
- B000-7 周術期口腔機能管理料(II)
- B000-8 周術期口腔機能管理料(III)
概ね、指導+SPT+摂食機能療法をまとめて処置するということですね。
訪問が必要な半身麻痺等の患者さんの口腔内は、正直なところ悲惨な状態になってる場合が多いです。多量の食物残渣、う蝕の多発、歯周病の悪化、咬合の崩壊と、口腔機能がほとんど失われているのが普通だったりします。
このような包括的な処置が導入されたのは、このような崩壊した口腔を持つ患者さんのケアが目的なのは明確です。従来のSPTの区分などは、診療室に通えるレベルでは通用しますが、このような状態の口腔内では、スケーリングどころか、まずは多量の食物残渣を取り除くだけでかなりの時間を要してしまうこともありますから、このように処置を具体的に決めずに全体として口腔ケアをする処置として定義したことはとても良いことです。
ということで、要は口腔ケアを実施するのが基本ということになります。
食物残渣の除去、口腔内の清掃、可能ならスケーリングの実施、介護や家族の方への口腔ケアの方法の指導等を行ないます。
この中で摂食機能療法だけは月に1度は行なうことが義務づけられています。
摂食機能療法とは具体的にはどんなことをすればよいのかというと
- あいうべ体操、パタカラ体操などの自己訓練法の実施や指導
- 首、口腔内のマッサージ(電動ブラシにガーゼを巻いた物等)
- 口輪筋や頬筋、咬筋のストレッチ
- 唾液腺マッサージ、唾液腺への振動刺激(電動ブラシを当てる)
- 舌のトレーニング
- 食事形態の指導
このような方法が代表的です。どれも器具も必要ないか、簡単な器具で実施できるものばかりです。
訪問診療の対象の患者さんの状態では、目的として症状の改善より、現状の維持、すなわち重症化への予防ということがより重要な課題となってきますので、そのためにも、この処置は積極的に診療に取り入れていってよいものと思います。
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