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2015年3月27日 (金)

歯のパーセンタイル曲線を作ってみました。

歯のパーセンタイル曲線ってご存知ですか?
こんなグラフです。

6889

横軸に年齢、縦軸に残存歯数をとり、そこに何本かのグラフが書かれています。各グラフは3%、10%、25%、50%、75%、97%のラインと表示されています。
例えば、10%のラインは、各年齢で残存歯の数の順に並べた時、上位10%の人数が入る時の残存歯数を繋げたものです。

これを使うと、各年齢である数の残存歯を持ってる患者さんの順位を推定できます。例にもあるように63歳で20本の残存歯の方は75%のライン上に位置するので、100人中75番目とわかります。年齢の割には失った歯が多いということですね。

順位がわかるだけだとあまり面白くないのですが、時間の経過を加味すると俄然このグラフが面白くなってきます。

例えば今の患者さんが、このままメンテナンスを頑張って75歳まで歯を失わないとすると50%のラインと交わる部分に移動してきます。なんと75番目から50番目に成績が上がってほぼ平均的な状態まで改善したことがわかります。

メンテナンスしても歯が増えるわけではないので、時間の経過とともにモチベーションが下がり気味になるのですが、これを使うと良くなっているのだということを実感できるようになります。患者さんだけでなく指導している側も楽しくなりますよね。

このままグラフで患者さんに説明するのでもいいのですが、せっかく電子カルテなのだからカルテメーカー上で同じ機能を実装してしまおうと考えました。

このグラフはすでに何種類も発表されていますので、簡単に済ますならグラフから数値を読み取って実装すればいいのですが、先人の成果にただ乗りするじゃつまらないなぁって気がして、自分で作ってみることにしました。

 

先程引用したグラフのキャプションをみると東京歯科大の吉野浩一先生が平成23年度歯科疾患実態調査報告から作成したと読めますので、早速グーグル先生に聞いてみると一発で厚労省のページがヒットしました。

A1

調査結果をエクセルかpdfでダウンロードできるので、迷わずエクセルのファイルをダウンロードします。解凍してエクセルで開くと


A2

めちゃくちゃ大量の表が.....




めげずに探すこと小一時間、ありました!「現在歯のある者の数、性・年齢別 (5歳以上・永久歯)」これに違いない。で開くと


A3

なんか凄い表。でも、内容は間違いなく年齢ごとに残存歯数で区分した人数の表です。これをグラフ化すれば作れるはずです。

でも数値だけじゃなんとなくイメージがわかないので、とりあえずそのままグラフ化してみると


20150327_02604

おぉ、なんとなくわかりますね。年齢が上がるに従って残存歯が少ない人の割合が多くなっています。

このデータから順番を見つけるには、年齢ごとに累積してそれを総数で割れば良いので、その処理をします。エクセルでもできるはずなのですが、エクセルのスクリプトは完全に忘却の彼方に行ってしまっているので(笑)データをcsvにして4Dに食べさせて4Dのプログラムで処理させました。
結果をエクセルに戻してグラフにすると

20150327_02732

こ〜んな感じ

カーブした崖ですね。

こうすると直感的にわかりますね。パーセンタイル曲線はこの崖の等高線を表しています。年齢が上がって本数が変わらなければ、右側の崖を昇ることになりますので順位があがるというわけです。

でも、なんだか凸凹だらけの岩山って感じです。このデータを元に今度は実データのパーセンタイル曲線を計算します。例のよって処理は4Dでしました。

20150327_02840

ずいぶんガタガタなグラフになりました。特に80歳以上はひどい。これはサンプル数がその年齢から極端に少なくなるからでしょうね

このままじゃ使えないので、とりあえずエクセルの近似式の機能を使って多項式近似をしたのが黒い実線です。

まあまあいい感じだけど20代前半と80歳以上でずれがひどい感じがするので、フリーハンドで整えることにしました。

画像をキャプチャーしてグラフィックソフトに持っていき、ベジェ曲線でトレースしてフリーハンドで修正します。

20150327_03026

カーブだけ表示すると

20150327_03042

バランスも良くなりました。

厳密に処理するならSVGで保存してこのベジェ曲線のパラメーターを数値で取出して数式で処理するのですが、まあそこまでやる必要はないので、5歳ごとにグラフを読み取ってエクセルに戻しました。

その結果がこれ

20150327_03216

いい感じでしょう。

で、またまたこれを4Dに戻して、このグラフから最初の崖の元になった累積の割合のマトリクスを計算させます。このマトリクスは年齢と歯数を軸に各交点での順位を表現したものになります。

凄い表になるのですが、次の画像の背景がそれです。これをグラフにすると

20150327_03348

こんな感じの滑らかな壁になります。

このマトリクスを使うと、年齢と歯数から直接順番がわかりますので、この表を保存して計算に使います。

で、完成したのがこの機能です。

20150327_03543

右上のリストに年齢と歯数を入れると順位を計算し、グラフにそのポイントをプロットします。複数入れると線で結んで推移がわかるようになります。

「参照」ボタンを押すと表示されているカルテから日付と生年月日、そして残存歯の状態を読み取ってリストに表示します。

リストをクリックしてマークをつけるとグラフにプロットします。複数のマークを付けると同じように線で結んで推移がわかるようにしました。

これで、簡単でとてもわかり易い表示になりました。

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