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2014年9月

2014年9月 7日 (日)

完全ペーパーレス化へ(電子保存まとめ)

 どうしても電子保存をしてペーパーレスの院内環境を整備する必要に迫られてきて、あらためて電子保存のついて調べてみました。

 電子保存に関しては、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4.2版」(以下ガイドライン)に従う必要があります。

 そもそも電子保存ができる医療関係の文書はなんであるかは、診療録等の電子媒体による保存についてというH11.4.22の通知に記載があります。

 (1) 医師法(昭和23年法律第201号)第24条に規定されている診療録
 (2) 歯科医師法(昭和23年法律第202号)第23条に規定されている診療録
 (3) 保健婦助産婦看護婦法(昭和23年法律第203号)第42条に規定されている助産録
 (4) 医療法(昭和23年法律第205号)第21条、第22条及び第22条の2に規定されている診療に関する諸記録及び同法第22条及び第22条の2に規定されている病院の管理及び運営に関する諸記録
 (5) 歯科技工士法(昭和30年法律第168号)第19条に規定されている指示書
 (6) 薬剤師法(昭和35年法律第146号)第28条に規定されている調剤録
 (7) 救急救命士法(平成3年法律第36号)第46条に規定されている救急救命処置録
 (8) 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第9条に規定されている診療録等
 (9) 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第6条に規定されている調剤録
 (10) 歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第46号)第18条に規定されている歯科衛生士の業務記録

 また、この通知の後半では、

(1) 保存義務のある情報の真正性が確保されていること。
(2) 保存義務のある情報の見読性が確保されていること。
(3) 保存義務のある情報の保存性が確保されていること。

 という3条件が示されており、これが冒頭のガイドラインの元になっています。

 なお、H25.7.30の通知「診療録に貼付等する書面の電磁的記録による保存について」で、カルテに写しを添付となってる各種書類(歯管の文書等)も電子保存の対象書類となっています。

 ここで注目して欲しいのは「処方せん」が含まれていないことです。

 この理由はガイドラインの78ページの「法令で定められた記名・押印を電子署名で行うことについて」にあります。

 平成 11 年 4 月の「法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関する通知」においては、法令で署名または記名・押印が義務付けられた文書等は、「電子署名及び認証業務に関する法律」(以下「電子署名法」という。)が未整備の状態であったために対象外とされていた。
 しかし、平成 12 年 5 月に電子署名法が成立し、また、e-文書法の対象範囲となる医療関係文書等として、e-文書法省令において指定された文書等においては、「A.制度上の要求事項」に示した電子署名によって、記名・押印にかわり電子署名を施すことで、作成・保存が可能となった。

 というように、処方せんは署名または記名・押印が義務付けられた文書なので対象でなかったからです。でも、ガイドラインでは現在は可能と言っています。但し条件としてはe-文書法省令に従って電子署名が必要となっています。

 これがなかなかハードルが高いです。

 まずは、認証局に関して

(1)厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野 PKI 認証局もしくは認定特定認証事業者等の発行する電子証明書を用いて電子署名を施すこと

 となっています。具体的にはMEDIS-DCが運営している保健医療福祉分野公開鍵基盤 電子認証局が発行する電子証明書が必要です。これを取得するのに、2年の有効期間で2万円というコスト、実印、印鑑証明、住民票住民票、本人確認書類、歯科医師免許の写しが必要という事務の煩雑さを覚悟しなければなりません。

そしてさらに、

(2)電子署名を含む文書全体にタイムスタンプを付与すること。
(3)上記タイムスタンプを付与する時点で有効な電子証明書を用いること。

 となっており、タイムスタンプをつけて存在証明をしろということになっています。また(3)では電子署名の有効期間が書類の法定保存期間よりはるかに短いことから、作成当時の電子署名が有効であることを示す関連情報(失効情報等)も同時に記録してそれも含めてタイムスタンプで存在証明をしなさいという面倒過ぎる取扱になっています。

もうね、だれがそんな面倒なことするのかという電子化するほうがはるかに面倒になるという大きな矛盾ですね

 もう、このあたりで心が折れそうなのですが、

 気を取り直して、良く読んでみると、この電子署名が必要な文書は「平成 11 年 4 月の通知で対象外とされた」と冒頭に書いてあります。

 あれっ、カルテって「署名または記名・押印が義務付けられた文書」だったよなぁと思って関連する通知を確認しなおしてみると

 その根拠になった通知は「診療録等の記載方法等について」というS63の通知で、ワープロ等のOA機器でカルテを作成した場合、

 2 保険診療録等の記載方法について
 保険医療機関及び保険医療養担当規則第8条及び第22条の適用を受ける診療録(略)この場合にあっては、保険医及び保険薬剤師等の署名又は記名押印を要すること。

 となっていて、これってカルテは「法的に記名・押印が義務付けられた文書」じゃんって思ったのですが

 なんと同文書はH11に改正されていて「この場合」が「診療録等の 電子媒体による保存について」(平成11年4月22日健政発第517号・医 薬第587号・保発第82号)に定めらた取扱いが行われていない場合」に変更になっていました。

 2 保険診療録等の記載方法について
 保険医療機関及び保険医療養担当規則第8条及び第22条の適用を受ける診療録(略)診療録等の 電子媒体による保存について」(平成11年4月22日健政発第517号・医 薬第587号・保発第82号)に定めらた取扱いが行われていない場合にあっては、保険医及び保険薬剤師等の署名又は記名押印を要すること。

 ということはカルテを電子保存する場合は、そもそもサインも記名押印も必要ない?!

ヤター!カルテは法的にはサインも記名押印も必要ない文書と確定!

なんとかなりそう....

 

 また、この改正の文書には

2 保険医療機関が電子媒体により診療録を保存する場合、診療報酬に関する通知に基づき診療録への添付又は貼付が必要とされる文書については、電子媒体により保存する必要はないが、診療録と速やかに突合できるような管理体制を整備しなければならないこと。

 という目立たないけど重要な文章があります。

 電子保存の通知で添付する書類も電子保存できるとされましたが、もし、しないなら適切に管理しなさいという文です。ということは文書自体の管理はカルテと物理的に同じ場所にある必要やカルテフォルダごとにまとめる必要はないということです。取出せる状態であれば保存ケースにまとめて保管しておいても良いということになります。

これがあとで生きてきます。

さて、いよいよ本題の電子保存です。ガイドラインの82ページの「7 電子保存の要求事項について」に詳細が書いてあります。

 電子保存は「真正性」「見読性」「保存性」の3つを確保することが基本です。

 この中で「見読性」「保存性」は特に問題はないでしょう。「見読性」で注意すべき点はすぐに書面にできることですね。画面に表示できることは当然ですが、書面としてすぐに印刷できる状態を維持することも必要条件です。「保存性」も問題ありませんが、もしシステムをリプレースして古いデータを引き継げない場合は、旧システムを参照用に法定保存期間が経過するまで維持管理しなければいけないことには注意が必要です。

 で、問題は「真正性」

 これが最大で最後のラスボスです。強いです(笑)

 「真正性」についてガイドラインでは、いろいろごちゃごちゃ書いてあるのですが、注目すべき点は、電子署名やタイムスタンプといった具体的に要求される技術要件が電子保存に関しては基本的に「ない」という点です。

おっ、ちょっと道が開けそうです。

 「真正性」をどのように実現するかはベンダーや医療機関の自由裁量ということですが、それに伴う責任も自分で持ちなさいと自己責任になっています。

 最低限の条件として、ユーザーをID等で区分して明確にすることと、「確定」操作をすることで追加修正のタイミングを明確にし、かつ変更履歴を残すこととなっています。これがワープロ等で記載した場合の「署名または記名押印」にあたる操作になります。

 修正したユーザーと時期を明確にする必要があるので、手書きやワープロで記載したカルテより、より厳密なカルテの管理を電子保存では要求されているということですね。

 技術的要件が具体的じゃないので、なんらかの方法で「改竄されていない」事を証明するような機能を電子カルテに作るか、運用方法を決める必要があります。

 大きな病院であれば、第3者委員会みたいなものを立ち上げて、カルテの監査をおこない、他の文書等で相互的な検証を行うことで「運用」で改竄されていないことを証明することも可能でしょう。

 でも、一般開業医ではそれは無理な話ですので、電子カルテ自体に何らかの技術的な機能を盛り込む必要があります。

 ごく基本的には、データベースのアクセス管理を使い、ログを残しておき、エンドユーザーにはそれらを修正できないようにするという方法があります。また、追記不可能とされる記録装置に記録することでそれを担保する場合もあります。そして電子保存を可能といってるメーカーの多くがこの方式を採用しています。

 でもこれらの方法は、ベンダーと共謀して悪意を持って改竄を企てるとあっさりと破られてしまいますし、私のようにそもそもベンダーとエンドユーザーが一緒という特殊な状態では、当然、まったく信用されません。

 現時点で、電子データが改竄されていないことを証明する唯一の方法は最初に述べた「電子署名とタイムスタンプ」を使うことです。

う〜む、振り出しに戻るですね。

 でも、「真正性」の確保は文書の実在と改竄されていない事の証明でありますから「電子署名」が絶対に必要というわけではありません。カルテ自体に署名や押印の法的な必要性がないからです。保存する文書中に「だれだれが記載」と記入されていて、それが改竄されていないと証明できれば法的な問題はないといえます。

 なら最低限「タイムスタンプ」でカルテの実在証明ができれば「真正性」を確保しているといえるのではないかと思います。

 では、具体的にどのようにタイムスタンプを適用するかということになります。ログやデータベースのデータ自体にタイムスタンプをするというのは現実的ではありません。また多くのタイムスタンプがアクロバットを使ってpdf書類にタイムスタンプをする運用形態を取っていますので、それをそのまま活用するのがコストも手間も最低限で実現可能でしょう。

 方法としては、確定操作をするとカルテの2号紙の追加あるいは修正部分をpdf書類として出力してそれにタイムスタンプをして保存するという形式でしょう。

 病名が追加あるいは転帰等の変更があれば1号紙も、歯管等の文書があればそれもpdfで出力してタイムスタンプをつけて保存という感じです。

 利用できそうなサービスを検索してみると

アマノ ビジネスソリューションズ株式会社の自動処理ツールなんてのがありました。アプリケーションは15万円程度、タイムスタンプ自体は、月額8500円で1000スタンプという感じ。アクロバットを使ってマニュアルで操作する場合は、アプリケーションは必要ないようです。

この会社のリンクからSkyCom社のSkyPDFというのも良さそうです。これはたぶんpdf出力のpdfドライバでpdfを出力すると同時にそれにタイムスタンプを付与するソフトです。これは年間契約になっているようで初年度は13万円、次年度からは7万円となっています。こっちの製品のほうがトータルで安いですね。

 コスト的にもなんとかなりそうです。後ほどメーカーに問い合わせてもっと具体的な事を聞いてみたいと思います。

 さて、これでカルテ本体はなんとか目処がつきましたが、紹介状や同意書といった基本紙ベースで発生する文書もペーパーレスにするにはなんとかしないといけません。

 カルテメーカーには「添付書類」という機能がすでにありまして、それらの文書をスキャンして取り込んでカルテに結びつけることができます。ですので、機能的には完全ペーパーレスでの運用が可能になってます。

 では、そういったスキャンした電子データの保存はどうなってるのかとガイドラインを読んでみると、110ページの「診療録等等をスキャナ等により電子化して保存する場合について」という部分に詳述されています。

スキャナで読み取った際は、作業責任者(実施者または管理者)が電子署名法に適合した電子署名・タイムスタンプ等を遅滞なく行い、責任を明確にすること。

 うっ、こっちは明確に電子署名とタイムスタンプが技術的要件として入っています。ということはスキャン画像を電子保存するにはあの面倒は電子証明書の発行が避けられないというわけなんですねorz

 と、諦めの境地に入りそうでしたが、読み進めていくと、「9.5(補足) 運用の利便性のためにスキャナ等で電子化を行うが、紙等の媒体もそのまま保存を行う場合」なんていう文章がありました。

 なんと、この場合は原本を保存しておけば運用上は問題ないという。で、最初のほうの通知が生きてきます。添付する書類もどこかに保存しておけば、乱暴な話、適当な箱を用意しておいてスキャンするそばから単純にその箱に重ねていけば、それでもOKということです。(まぁ、ちゃんと戻せるように日付けごとのフォルダぐらいにはいれておいた方がよさそうですが)

というわけで

完全ペーパーレス&正式にカルテメーカーを「電子カルテ」と標榜する日も間近です!!

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